骨折調査報告書

緊急調査報告書

もねさんはなぜ骨折したか

その原因と対策

2003・5・1 初版
2003・5・4 外部専門家の意見を追加
2003・5・21 3週間後の診断結果を追加
2003・6・9 6週間後の診断結果を追加
2003・6・27,28 60日後、ギプス外しを追加

もねココ家 事故調査委員会

1.はじめに

 2003年4月28日(月)昼ごろ、鹿児島市のK湾公園の芝生広場で、フリスビー練習中に、もねさんが右前足の小指を骨折した。
 もねココ家では、事態を重視し、今後のけが防止に資するため、調査委員会を設置し、素人的見地から、骨折原因の究明と再発防止対策を検討した。

2.調査委員会

 名称 「もねココ家 事故調査委員会」
 構成 委員長 とーちゃん
     委員   ココ

3.骨折事故の概要

 発生日時  2003年4月28日(月)昼ごろ
 天   気  晴れ
 発生場所  鹿児島市K湾公園芝生広場
 骨折状況  右前足小指単純骨折

4.当日の事故発生までの経緯

 関係者からの事情聴取等により、当日のフリスビー練習は次のとおり、行われていたことが判明した。骨折現場

 とーちゃんが夜勤で夕方出勤予定だったため、午前11時ごろ、とーちゃん、もね母、もね、ココの一家2人+2匹でK湾公園に車でフリスビー練習に向かった。
 もうちょいで公園というところで、急な仕事でとーちゃんが呼び出されたため、とーちゃんの仕事場まで戻り、とーちゃんを降ろして、もね母、もね、ココの1人+2匹で再びK湾公園に向かった。
 よくフリスビーの練習に使っている芝生広場のはじっこで練習開始直後、いつも通りのもね母の1投目を、いつも通りに
もねがジャンピングキャッチし、着地後、びっこになった。

5.骨折の状態

骨折のX線写真 捻挫かと思い、様子を見たが、翌29日になっても良くならなかった。
 びっこのようすから右前足に異常があると思われたが、肩、膝、かかとの関節を動かしてみても痛がらなかった。しかし、指先を親指から順番に触っていくと、小指の時に足を少し引っ込め痛そうにした。このため、捻挫や靱帯損傷などではなく、骨折あるいは骨にひびが入った恐れがあると判断した。
 その日はあいにく祭日で獣医さんはお休み。30日にK大学動物病院を受診しX線検査などで以下の通り判明した。

もねのギブス姿  けがの状態 右前足小指単純骨折
  治  療   右前足の肘から先をギプスで固定。3週間後に再診し、ギプスを外してチェックする予定。
  予  後   「元通り運動できるようになるでしょう」(獣医さんの話)


 (2003・5・21 『3週間後の診断結果』を追加)3週間後のX線写真
 5月21日、3週間経ったので、K大学動物病院でギプスを外してX線撮影。これでギプス生活から開放された!と思ったが、もう一度、ギプスをつけ直された。
「固まってきているけど、あと3週間がんばりましょう」(獣医)
くっつき具合には個体差があるが、もねが特に遅いということではないらしい。


 (2003・6・9 『6週間後の診断結果』を追加)6週間後のX線写真
 6月9日、もねがギプスをだいぶむしってしまったので、予定を2日早めて病院へ。今度こそ外せると思ったが、また、さらに3週間、より強力なギプスをつけることになってしまった。
 ようやく骨折部を仮骨が覆い始めているが、やはり治りが遅いということらしい。骨折自体は深刻なものではないが、関節に近いことや、コーギーの足が短く固定しにくいことなどが重なり、固定が不十分だったらしい。
 このような場所の骨折の場合、ギプスなどで固定しなくても、骨折箇所があらたな関節のように動くようになり、そのまま痛みがなくなってしまうこともあるという。しかし、もねのようにフリスビーなどのスポーツをする犬は、その部分が炎症を起こしたりすることがあるので、きちんと固定して治したほうがいいとの見解だった。

 (2003・6・27,28 『60日後、ギプス外し』を追加)

60日後のX線写真
ギブスを外した後の足

 6月26日のトイレ散歩中、広場でもね母が不注意でリードを離してしまい、もねが激走。ギプスが足先方向にずれて足を引っ掛け、もねが転倒した。幸い異常はなかったが、ギプスがずれたままだと危険なので、30日に行くはずだった予定を早めて、27日に動物病院に行った。

 もね母が朝、連れて行くと、外科の先生は不在。病院にもねを預けて夕方にもう一度行くと、ギプスが外れ、代わりにテーピングされていた。
 X線写真の写りが悪く、シロウトにはよく分からないが、ギプスはもう外していいということになったらしい。テーピングは足先に辱創ができていたためとのこと。長い間ギプスをしていたためのようだが、2、3日で治るとのことで一安心。散歩はOKだが、まだ過激な運動はダメで、1ヵ月後にX線撮影して経過を診ることになった。

 テーピングは1日でずれてしまったので、翌日取ってみた。約3週間ぶりに見るもねの右前足はちょっとかわいそうな状態。爪は全部、伸びすぎ。親指の爪に相当する狼爪も伸びすぎで、内側の肉球に当たっていたのか、傷になり血が出ていた。ほかの指の肉球も、長期間のギプスで蒸れすぎたためか、ふやけてじくじくしたような、かさぶたになったような状態。肉球の間も、じくじくと黒くなっていた。
 せっかくギプスが外れたのに、肉球が痛いためか、まだびっこのままで、あまり歩きたがらずちょっとショック。小指の骨折を治すだけだったのに、ほかの指までちょっと変になってしまった。じくじくは数日で治るだろうが、伸びすぎの爪は、中の赤い部分まで伸びてしまい、ちょっと問題。しばらく様子をみるが、何とかする必要があるかもしれない。

6.骨折の推定原因

 けが犬自身が多くを語らないため断定は困難だが、(1)骨折個所以外に打撲、擦過傷、捻挫などのけがが全く見つからない(2)斜めに亀裂が入った骨折の形態からみて、主として骨の軸方向に圧縮力が働いて骨折したと推定される―などから、着地時に小指だけに指先方向から過大な力が加わり骨折に至ったと考えられる。

 小指だけに過大な力が加わった詳しいメカニズムは明らかにできなかった。単なる着地ミスといってしまえばそれまでだが、以下のような要因が重なり合って起きたとも考えられる。
 可能性1 着地点にたまたま石や穴などがあった?
 K湾公園の芝生広場は、いままでもよく練習に使っていて全く問題なかったが、時々、小石が落ちているのを見つけて気になっていた。
 可能性2 爪が伸びていた?
 少し爪が伸び気味で、地面に引っかかりやすかったかも。
 可能性3 練習回数が多すぎた?
 やりすぎればけがをする確率は高まる。もね相手の練習は日常的にはもね母が週2、3日各5、6投程度、とーちゃんは2週間に1回10投程度だった。それほど多くはないと思うが…。

 ・・・・・(他にもいっぱいあるかも)

 (2003・5・4 外部専門家から寄せられた意見を整理して以下に追加)
 可能性4 大会参加の疲れがたまっていた?
 マッサージをしても取り切れない疲労や遠征の疲れが溜まっていたのではないか。いつもだと踏ん張りきれていた体の重さとかを、疲れが溜まっていて支えきれないことがある。筋肉が硬いまま動いてしまうのもけがの原因になる。
足の疲労は、思った以上に蓄積している可能性がある。
 可能性5 準備運動不足?
 人間のアスリートと同じで体が温まるまで準備運動が必要。(もねココは、車を降りて練習場所まで少し歩いただけで、いきなり練習することが多かった)

7.再発防止対策

 原因推定結果等を考慮し、当たり前のことばかりではあるが、以下のような再発防止対策が必要と考えられる。

 <健康管理> 通常の健康管理に加え、爪、関節など足(脚)回りを特に念入りに!体重オーバーも病気やけがのもと。準備運動も忘れずにないように。フリスビーは危険を伴うスポーツであることを忘れてはいけない。
 <グラウンドチェック> 思わぬ所に落とし穴も。念には念を入れてチェックを!
 <練習回数を抑制> いくら犬がやりたがっても抑制するのが飼い主の役目。やりすぎれば故障しやすくなり、犬の集中力も落ちる。実際問題、結果を出すには犬の練習量よりも人間の投げ練の方が重要かと・・・。

 ・・・・・(他にもいっぱいあるかも)

 (2003・5・4 より具体的な意見が外部専門家から寄せられたため、整理して以下に追加)
 <疲労回復> 置き水のなかにアミノバイタルを混ぜるなどして、水分補給、エネルギー補給に努める。
 <練習時間> 暑い時間帯を避け、涼しい朝か夕方に気温が下がってから練習を。十分に休憩を入れながら短時間で。
 <準備運動> トロット、ギャロットや、ディスクを使わないで犬を動かすなど、体が温まるまで準備運動をさせる。
 <着地練習> 四つ足を抱えるようにして椅子の高さからOKのコマンドを言って手を離し、犬が常に4本足で着地する癖をつける。
 <練習回数> ディスクを使っての練習は週に2・3回程度で、あとはコミニケーションを取る練習を。人間の投げ練が一番。

8.終わりに

 JFA前半戦のラストスパート、さらにスカハ・ジャパンカップに向けてがんばろうとした矢先のアクシデントだった。なぜこんなことが起きてしまったのか。人並み以上に注意していたつもりだったが、やはりどこかで気の緩みがあったのかもしれない。
 本委員会は、この事故を教訓として再発防止を誓うとともに、フリスビードッグに携わる関係者が、あらためてその責任を十分に自覚し、安全管理の徹底に万全を期し、二度とこのような事故が発生しないよう念願するものである。


番外.終わりの終わりに

 最後まで読んでくれた人、ご苦労様。ありがとうございます。あまり役に立たない、偉そうな、変な報告書だけど、中身は一応まじめなつもりです。
 夏までに完治の見通しであることは不幸中の幸いでしたが、もねさんには本当に申し訳ないことをしました。
 フリスビードッグは人犬一体となって楽しめる、本当にすばらしいスポーツですが、気をつけていても危険が伴うことは事実です。分かっているつもりでしたが、もねが骨折をしてあらためて痛感させられました。
 皆さんも十分気を付けて楽しんでください。

by とーちゃん

 かあちゃんが お休みのあいだは あたしが がんばるじょ~

by ココ