ソロモンの指環

 イヌが幸福であるかどうかは、なによりもまず、きみがどれだけの時間イヌと一緒に過ごせるか、どのくらいしばしばイヌがきみの散歩のお供をして歩き回れるかにかかっている。書斎の前で数時間きみを待つことも、そのあとで十分ほどきみと一緒に散歩にゆけるのなら、イヌにとってはなんでもない。心のかよう友情がイヌにとってはすべてである。しかしそれは少なからぬ義務を伴うものであることを忘れてはならない。なぜなら忠実なイヌとの友情は、一たび成立ったらもはや断ちがたいものだからである。彼を手離すことは殺人にもひとしい。それからもう一つ、もしきみがとくに繊細な神経の持ち主だとしたら、きみの友人の寿命がきみのよりずっと短いこと、十年から十四年後にはかならず悲しい別れがやってくるのだということも忘れてはならない。

――― コンラート・ローレンツ「ソロモンの指環」より

 名言だねえ。

 20年前に初めて読んだ。そのときは、まだイヌは飼っていなかったが、それでも引き込まれるように、あっという間に読み終えてしまった。

 もねココと暮らす今、あらためて読み返すと、「うん、うん」とうなずけることが多い。ちょろっと読み返しただけだけど、もう一度、全部読まないといかんね~