ココ、腫瘍と膀胱を摘出

17日
ココのオシッコが急にすごく出にくくなった。
体調自体は悪くなく、普段通り元気。食欲もある。
だけど、お散歩中、何度オシッコポーズをとっても一滴も出ない。
それまでも出にくいことは出にくかったが、何度かに分けて出せていた。
でも、出るのは緩いウンチだけで、オシッコがほとんど出なくなった。
お腹を触ってみると硬くてパンパン。
たまに屋内で不定期に少量のオシッコは出たものの、十分出ているようには到底思えない。
「これはおかしい!」ということで、翌日、もね母が掛かり付けの病院に連れて行くことにした。

18日
病院でエコーで調べたところ、膀胱のまわりの肉芽がさらに少し大きくなっていた。
ステロイドを増やしているのに効いていない。
これが尿道を圧迫して狭くし、オシッコが出にくいらしい。
獣医師が膀胱圧迫で排尿させたら、全部は出せなかったが、200mlぐらい出た。
週明けに大学病院に予約が入れてあったので、それまで毎日通院して膀胱圧迫でオシッコを出してしのぐことになった。

19日
昼間はなんとか家で圧迫排尿で少し出させ、夕方、病院でさらに獣医師が圧迫排尿。

20日
圧迫排尿でもやはりオシッコが出しきれないので、病院で尿道カテーテル挿入。
かなり大量のオシッコが出て、張っていたお腹がスッキリした。
X線撮影をしたところ、肉芽が膀胱を圧迫しているだけでなく、反対側にも大きくなり、大腸を圧迫していることがわかった。
これがウンチがユルユルに少しずつ出る原因らしい。
掛かり付け病院の医師は「ステロイドで内科的に抑えるのは難しくなってきました。手術が必要だと思いますが、どれぐらい肉芽を取れるかはやってみないと分かりません」と状況を説明した。

21日
もね母が連れて、大学病院へ。
ここでも掛かり付け医とほとんど同じ見解で、手術が必要との判断。
23日に手術することになった。
ただし癒着していることが予想され、開けてみないとどの程度取れるかは分からないとの説明。
お腹を開けて状態を見てから方針を相談するので、手術中は近くで待機してほしいと言われた。

22日
ココは尿道にカテーテルを入れたままだが、特に気にした様子もなく至って元気。
オシッコが抜けてお腹の張りがなくなったためか、ウンチの出方も若干改善した感じ。

23日
いよいよ手術日。

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病院に到着。朝から絶食で不機嫌顔
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がんばるんですよ!

ココを預けるとき、執刀医(教授)から説明があった。

右腎は既に機能していないが、元気な方の左腎も危ない状況。
腫瘍が大きくなって、左腎側の尿管に迫り、既に尿管が少し太くなっている。
このままだと1カ月もかからず、左腎もやられてしまうかもしれない。
開けてみないとわからないが、癒着がひどいと腫瘍をほとんど取れないかもしれない。
取れないと、どんどん大きくなって、尿も便も出なくなる可能性が高い。
そうなると、人工尿道が必要になる。
人工肛門も必要になるが、犬の場合、管理が難しく、そこまでやるかどうかは飼い主次第。

―などなど。
とにかく、開けてみて、その場で判断ということになった。

前の患犬の処置が長引いて、午後3時すぎ、手術スタート。
手術室の上に中2階的な見学室があり、そこに案内された。
麻酔を掛けられ、ひっくり返ったカエルのように仰向けに寝かされたココちんがガラス越しに見えた。
がんばれっ!
手術部位以外を布で覆って、準備完了。

カッターナイフのようなメスを持った執刀医の右手がココちんのお腹をスーッとなぞった。
と思ったら、パクっと皮膚が開いた。
すんごい切れ味!
出血もあまりない。
少し血が出ても電気メスみたいので押さえるとすぐに止まる。
開き終わって、執刀医がお腹の中に指を入れて、いろいろ探っているもよう。
しばらくして不意に手術室から出て行ったと思ったら、見学室に現れた。

やはり腫瘍は膀胱にくっついていて、はがすのは難しい。
腫瘍をとるためには、膀胱も一緒に取らなければならないだろう。
その場合は、尿管と尿道を直接つなぐ。
幸い、腫瘍は大腸側には癒着していない。
腫瘍を取れば、大腸は助かる。

との説明だった。
目の前にお腹を開いたままのココちんが待っていることもあり、ゆっくり考えている時間はない。
「なるべく、一部でもいいから膀胱を残してほしいが、無理ならば全摘で構わない」と返答。
執刀医はすぐに手術室に戻り、手術を再開した。

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大勢で頑張ってくれています!(画像加工済み)

剥がせるところは剥がし、剥がせないところは少しずつ切っては止血、切っては止血。
忍耐強い、慎重な作業の繰り返しで、摘出しようとしている塊が少しずつ周囲の組織から離れてきた。
やっぱり膀胱は残せないらしい。
太めの血管らしき管は糸で縛ってから切断。
ついにボコっとした塊が取れた。

さらに手術は継続し、次は尿管と尿道をつなぐ作業。
右腎は既に機能していないため、尿管を縛るだけ。時間が経つと収縮していくという。
左腎側は、
「左腎」→「尿管」→「膀胱」→「尿道」→「尿道口」となっていたのを、
「左腎」→「尿管」→「尿道」→「尿道口」とつなぎ替える。
直径5ミリぐらい?の尿道と尿管に1本のカテーテルを通し、返しのない小さな釣り針みたいのを鉗子でつかんで、チクチクと縫い始めた。

すんごい器用!

ほどなく縫いもの完了。
最後にお腹の中を生理食塩水みたいのできれいにして、内側をチクチク縫って、さらに表面をホチキスみたいのでパチンパチンと留めて終了。
所要時間1.5時間ほどであった。

終了後、またすぐに執刀医が来て結果を説明。

膀胱は残せなかったが、腫瘍は全部取れた。
腫瘍は脚に行く血管も巻き込みそうになっていて、もう少し遅かったら全部取れなかったかもしれない。
尿道はきれいに残せたので、尿管を膣ではなく尿道につなぐことができた。
オシッコがポタポタ出ちゃうので家ではオムツが必要だが、散歩の時は外しても構わない。
川で泳がせたりしても問題ない。
尿道を残せたので、膣につなぐより感染を起こしにくい。
尿の色やニオイに注意が必要。もし感染したら抗生剤で治療することになる。
縫合には溶ける糸とナイロンの糸を使った。ナイロンの糸は免疫反応を起こしにくい。
1年間ステロイドで抑えられていたのに最近急に大きくなったのは、自己免疫疾患による肉芽とは別のものだからかもしれない。
例えば残っている膣の平滑筋腫とか。
周辺のリンパ節は大きくなっていなかったし、悪性ではないと思う。(このあたり、ちょっとワシの記憶があやふや)
いずれにしても病理検査に出して調べる。

執刀医の先生は汗だくであった。
かなり大変だったらしい。
本当にどうもありがとうございました。

待合室に戻って少し待っていたら診察室に呼ばれた。
急いでいくと、ココちんが台の上に寝かされていた。

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「が、がんばりまちたぁ」

よくがんばりました!
これでまだまだ一緒にいられますよっ!!

まだ麻酔から覚めきっていないのでトロンとした感じ。
ちょっと震えていたが、開腹するとお腹の中から体温を奪われて寒く感じるんだそうな。

若手獣医師?が持ってきてくれたのは摘出した腫瘍と膀胱。

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クリックすると大きくなるので注意!

ゴルフボール2~3個ぐらいの大きさ。
重さ約130グラム。
ココちんの体でこの大きさなら、人間の大人に換算したら重さ1キロぐらいの塊がお腹の中にできていたようなものか。
いやはや、ココちんも本当にお疲れ様でした。

このあとは1週間ぐらい入院の予定。
まだ術後間もないし、膀胱を取ったことの影響も気になるが、とりあえずは一安心というところである。
ふうっ、まったくココちんは心配かけてくれるよ!

お金もたぶんかなりかけてくれたとみられる(^^;)


コメント

“ココ、腫瘍と膀胱を摘出” への4件のフィードバック

  1. ロビンママのアバター

    ココちゃんお疲れ様でした。
    よく頑張りましたね。

    腫瘍が全部取れて良かったです。
    感染症など心配も尽きないと思いますが
    ひとまず安心しました。

    早く元気なニコニコ顔を見たいです。
    ココちゃんに不安気なお顔は似合いませんものね。

    ココちゃん、早く回復してね。

  2. カイママのアバター

    手術までの経緯と手術の内容拝見して、あらためてココちゃんはよくがんばったな、と。
    そして、ご家族も大変な心労だったと。
    今後の生活でも油断できないようですが、まだまだ一緒にいれる幸せ。
    あらためて、ホント良かったです。

    下世話な話ではありますが・・・
    ココちゃんは、ホントに恵まれていて幸せなワンチャンだと思います。
    おそらくどこの家庭でもコレだけの治療をしてもらえる
    愛犬がどれだけいるのだろうか・・・と。
    ウチはそちらの大学病院でMRI検査をしました。
    およその金額は聞いてはいたものの・・・「カード払いで・・・」(汗)
    かけがえのない家族ですものね。出来る限りを尽くしたいですよね。

    もうしばらく、ココちゃん病院でがんばってね。
    ココちゃんのお帰りを待ってますよ。

  3. ココ爺のアバター
    ココ爺

    ロビンママさま

    ありがとうございます。
    思った以上に難しい手術だったようですが、先生方が頑張ってくれました。
    ココもよくがんばりました。
    もうちょい、油断せず辛抱します。

    ロビンくんの様子、読みました。
    もねも低酸素に少しずつ慣れていったようでした。
    酸素ハウスを一時用意しましたが、入れるとすごく嫌がり、興奮してかえってハアハアするので、実際にはほとんど使いませんでした。
    でも携帯用酸素はいざというときのために用意しておいたほうが安心かもしれません。
    DMは症状の出方がそれぞれ違うので難しいです。
    でも、ロビンママさんは十分工夫して、対処できていると思います。

  4. ココ爺のアバター
    ココ爺

    カイママさま

    ココが元気も食欲もあるので切迫感はあまりなかったのですが、本当はかなり危ない状況でした。
    オシッコが出なかったら、そのままじゃ生きていけないですからね。
    手を尽くすというより、時間的余裕があまりなかったので、ほかに選択肢がありませんでした。

    保険には入っていますが、保険金支払いの上限を超えて、諭吉さんサヨウナラ~って感じでしょう(汗)